中学受験には塾が必要です
中学受験を考えるようになると、どうしても塾選びが大切になります。中学受験に関しては、高校受験や大学受験以上に、塾の力が必須になります。
それは、中学受験で問われる内容・難度が小学校で学ぶこととかけ離れているからです。ごく稀に、保護者様が計画を立てられ、大手塾の教材を取り寄せ自宅で教えられていることもありますが、それは並大抵のことではありません。保護者の犠牲を伴います。
中学受験塾では何を提供しているのでしょうか
前倒しの授業
中学受験をするためには、少なくとも小6の一年間は、過去問演習など得点力をつけるための演習が必要になります。その時間を得るためには小5までには小学校内容を終わらせていなくてはなりません。そこで、受験塾はかなり前倒しの授業をしておく必要があります。
小学校では習わないテクニック
中学入試は当然小学校内容から出題されるので、そこをはみ出すわけではありません。ただ、とても複雑に問題が作られているので、塾で習うテクニック抜きで、正解には行きつきません。例えば、算数の「つるかめ算」というテクニックがあります。その解き方は小学校の範囲の知識で、応用問題を素早く解く算術なのです。詭弁のようですが、一応習った範囲内の知識で解けると言えます。しかし、実際の中学入試問題はこのようなテクニックを駆使しないと時間内に解き終わりません。
カリキュラムとロードマップ
先ほどの小5までに小学校内容を終わらせることも「カリキュラムとロードマップ」に関係があります。
カリキュラム
「カリキュラム」は塾によって異なります。ある塾は振り返ることなくどんどん前に進むカリキュラムを取っています。またある塾はスパイラルアップ方式で周期的に似たような単元がレベルアップして巡ってくるカリキュラムを取っています。つまり、塾によって千差万別なのです。しかし、この「カリキュラム」には、その塾のノウハウが詰まっています。どの塾でも試行錯誤の後にたどり着いた「塾の宝」と言ってもいいものなのです。
ロードマップ
自宅学習で対応しにくいのが「ロードマップ」です。ロードマップというのは受験合格までの予定表と考えていただければいいと思います。さあ受験をしようと思ったときから入試当日まで、どのように受験勉強するかという「具体的な」学習予定表です。このロードマップは実は生徒一人ひとり異なります。わたしも、塾生全員分のロードマップを作っていました。
これを保護者が実施・管理するのは、経験で言わせていただければ、かなり困難です。
テスト
授業の内容は必ずチェックしなくては本当に理解できたかどうかわかりません。可能なら、1週間の授業内容を週末にテストすると、短期的な目標となるので、学習にリズムが出てきます。このチェックテストには補習がセットになっていると完璧です。また、受験学年は、客観的に学力を測る「合否判定テスト」が必要です。
大手の塾では「教材とテスト」はリンクしていて当たり前ですし、合否判定テストに関しても母集団が多いので信頼できます。
通常の授業は必ずしも大手がいいとは限りませんが、教材やテストシステムは客観性からも大手にはかないません。
ライバルたち
人間は何かを競うときに「ライバル」がいる場合と、いない場合ではモチベーションが全く違います。もしかすると塾で提供できる最も大きな環境は「ライバルの存在」かもしれません。
小学校高学年になってから、入塾を決めた保護者から「自宅で頑張ることの限界」を伺ったことがあります。やはり、塾の友達と一緒に同じ目標に向かって頑張った方が、本人が頑張れるだろうと家族で話し合ったうえでの入塾だそうです。
保護者会
まともな塾であれば年間最低4回は塾生に対しての保護者会を実施すると思います。学年別保護者会や入試直前説明会などを含めるともっと多くなります。
保護者会ではどのようなことを話しているのでしょう。この内容は塾によってかなり違いますし、保護者会の目的によっても違いますが、今回は夏期講習会の説明を目的とした保護者会を例にとってお話しします。(以下は私が担当した保護者会のパワポの内容です。)
・夏期講習会の詳細
・夏期講習会中の自宅での受験勉強
・〇〇県の受験事情
・昨年の当塾の合格実績
・20年先の就職事情
・新大学入試改革について
・夏の特別講座(イベント)について
上記の例をまとめると、保護者会にはいくつかの目的があることがわかります。
・塾のイベントなどの説明と勧誘
・塾の授業内容や合格実績のアピール
・教育産業に従事していないと分かりにくいような受験事情などの発信
塾の保護者会では、塾が生徒や保護者に伝えたいこと・保護者が知りたいことを発信しています。これも、塾が行っているサービスの一つなのです。是非参加しましょう。
個別面談
個別面談期間を設定している塾も多いと思いますが、基本的には心配なことがあれば、いつでも個別面談に応じてくれると思います。もし、応じてくれなかったとしたら、問題ありです。転塾をお考えになった方がいいと思います。
保護者の悩みは、電話や保護者会の後の質疑応答だけでは満足できないことが多いものです。気になっていることは、個別面談を申し込んで、納得いくまで担当の先生や塾長先生と話し合いましょう。
どの塾を選べばいいのでしょう
上記の「中学受験塾で提供していること」を満たしていればちゃんとした塾だと思います。そして、受験塾に絞って言えば、大手が安心だと思います。大手と言えば、
<関東で有名な大手塾は>
・サピックス
(難関校への高い合格実績、「ムダ」が少なく「繰り返し学習」が少ない)
・早稲田アカデミー
(解いて覚える学習方法、宿題の量が多い、「丸暗記学習」の勉強グセがつきやすい)
・四谷大塚
(上位層から中堅・下位層まで幅広く在籍、親が教える必要はあまりない、テキスト「予習シリーズ」は完成度が高い)
・日能研
(間口の広さが特徴。特に中堅校に強い、宿題は比較的少ない、落ちこぼれる子が少ない)
・栄光ゼミナール
(少人数グループ指導(定員12名)、「スパイラル方式」が有名)
<関西で有名な大手塾は>
・浜学園
(関西各府県最難関校への群を抜いた合格実績、常に高いレベルでの学習意欲や競争心が求められる)
・希学園
(難関中学への受験に特化した進学塾、関西最難関校への高い合格実績)
・馬渕教室
(近年、難関校の合格者数を伸ばす、学習内容の理解・定着を徹底しており、「わかるまで帰さない」がモットー)
・能開センター
(徹底した反復演習による基礎定着、カリキュラムの進度は、他塾に比べると比較的緩やか)
などが有名でしょうか。
最後は子どもとの相性
しかし、地方で頑張っている無名の塾もたくさんあるので、どこがいいかとは一概には言えません。また、大手を十把一絡げにもできません。それぞれに個性がありますから、子どもとの相性がとても大切です。ネームバリューに惑わされないでください。確かに、上記の大手塾は受験塾として押さえるべきところはしっかり押さえてはいますが、一番大切なのは子どもが楽しく受験勉強できるかどうかです。入塾の手続きを取る前に、担当の先生や塾長先生としっかり話してみることが大切です。話している間にその塾の質や哲学が分かってくると思います。
(take_futa)
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