アクティブラーニングが必要な理由

教育改革

はじめに

 何年も前から「アクティブラーニング」という言葉を耳にします。
 アクティブラーニングは、2020年度から実施されている「小学校新学習指導要領」で、文科省が「教える内容」だけではなく、「教え方」に言及した主軸となるメソッドなのです。

 しかし、教育とは直接関係のない保護者にとってのイメージは「先生は教えずに、生徒が話し合っている、新しい授業形態。」といったところでしょうか。

 このイメージは、まだ「物珍しい授業形態」の域を出ていない証拠かもしれません。教育先進国であるフィンランドやデンマークは何年も前から導入されており、日本でも早く導入しようという声が高まっています。アクティブラーニングは先進国ではすでに実験段階は終わり、実用段階に入っています。日本はアクティブラーニングに関しては後進国と言ってもいい状況です。

 「別に困っていないのだから、わざわざアクティブラーニングなど、取り入れなくてもいいのじゃないか。」という意見もありそうですが、実はそうも言っていられないのです。アクティブラーニングは未来の子どもたちに大きな影響のあるメソッドなのです。実はこのことを分かっていただくために、この記事を書いています。

 現場の先生方も、新学習指導要領でアクティブラーニングを勧められてはいるけれど、具体的な授業形態は今までと大きく異なっているうえに、サンプルが少なすぎて、戸惑っているというのが本当のところだと思います。

 今回の記事では、アクティブラーニングを深掘りしていきたいと思います。子どもの未来がかかっている内容だと思いますので、是非最後までおつきあいください。

アクティブラーニングとは?

「アクティブラーニング」という言葉は、文部科学省の用語集や、2012年8月に取りまとめられた中央教育審議会答申に出てくる以下の記述が参考になります。

 生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は、学生からみて受動的な教育の場では育成することができない。従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である。

 わかりやすく言うと、文部科学省によるアクティブラーニングの定義は、「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習法」です。

 2020年より本格的に実施される新学習指導要領ですが、実は2017年2月に文部科学省が公表した小・中学校の学習指導要領改定案では「アクティブラーニング」という表現が消えています。私を含め驚いた先生は多かったと思います。しかし、実際のところは「アクティブラーニング」の思想が無くなったわけではなく、用語が使用されなくなり、代わりに「主体的・対話的で深い学び」という表現に置き換えられたというのが正しい解釈です。
 「アクティブラーニング」という表現が新学習指導要領から消えたことに関しては、実は賛否両論あります。誤解を恐れずに言うと「アクティブラーニング」という言葉が曖昧な定義にもかかわらず、独り歩きしてしまったのが原因だと思っています。


※新学習指導要領については、私の記事:「『新学習指導要領』で変わる学校」で深堀りしています。参考にしてください。

アクティブラーニングの背景

アクティブラーニングの必要性の背景は主に2つあります。

〇知識・情報・技術をめぐる変化の加速に伴う情報化やグローバル化のような「社会的変化」の急速な発展

〇情報処理を得意とする人工知能の普及

 今後、社会が急速に変化していくことで、この先想像もしていなかった(シンギュラリティを迎える)世界が広がるかも知れません。そんなときに私たちには何が求められるでしょうか?その世界では、インプットした知識をアウトプットするだけでは役に立たないのです。未知の出来事に対して対応できる判断力や適応力が必要なのではないでしょうか。

 また人工知能・ロボットの普及によって、今まで人間が請け負ってきた単純作業は人工知能やロボットに代替されます。以下の資料は保護者会で使ったパワポをアレンジしたものです。子どもたちが出会う新しい未来がイメージできる情報ですので、ご覧ください。




 人工知能やロボットで代替される可能性が高いのは製造や販売などの現場作業が多く、可能性が低いのはクリエイターや研究者、医者や保育士などです。

 必ずしも特別な知識・スキルが求められない職業や、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業は代替可能性が高い傾向にある一方、抽象的な概念の知識や他者の理解、交渉などが必要な職業は代替が難しい傾向にあります。

 野村総研の以上の試算には、オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究と同様のアルゴリズムを使用しているそうです。

※ 上の「代替の可能性の高い・低い職業100種」の画像は小さく見えにくいので、見やすいデーターを貼っておきます。
 〇代替の可能性が高い職業100種
 〇代替の可能性が低い職業100種






 以上のデーターでわかるように、人工知能を使う側として必要な能力である問題解決能力や、人工知能に負けない人間の独特の能力である表現力を伸ばす必要が出てきました。

 しかし、残念ながら現在の教育は、知識をインプットすることを重視しているため、人工知能に代替されてしまう人間を育成してしまうのです。そこで新たな教育を導入し、それぞれに必要な能力を伸ばす教育法の導入が望まれています。

文部科学省の目指す「アクティブラーニング」とは?

 では「アクティブラーニング」とはどんな学習なのでしょうか?
文部科学省は、アクティブラーニングには3つの柱があると言っています。

主体的な学び ー 学ぶことに興味や関心をもち、自分の将来設計と関連づけながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる学び。

対話的な学び ー 子供同士の協働、教師や地域の方との対話や、先人の考えを手がかりにして、自らの考えを広げ深める学び。

深い学び ー 習得・活用・探究という学習プロセスの中で、教科ごとの見方や考え方で思考・判断・表現を行い、学習内容の深い理解につなげる学び。

 これらを「主体的・対話的で深い学び」とまとめています。具体的には、グループ・ディスカッションやディベートなどの学習方法を導入することで、生徒は問題を発見し協働して解決する体験ができます。その中で自分の意見を表現し、他者の意見を受け入れるトレーニングをすることができます。したがって社会的能力や経験、教養を身につけることができるとされています。

 つまり一人で能動的に学習していく「自立学習」とは異なり、複数人で協働して学習することがアクティブラーニングを語る上で重要な要素なのです。

 文部科学省主催の「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット2019」という催しの内容が興味深かったので、こちらに貼っておきます。
 元塾講師としては大学受験英語のエキスパート安河内哲也先生のお話しに共感しました。
≪東京会場≫ 令和元年7月31日(水曜日) 10時00分~17時30分
○特別講演
 【東京会場】 安河内 哲也  一般財団法人実用英語推進機構代表理事

○パネル・ディスカッション
 【東京会場】 
≪コーディネーター≫ 
板倉 寛  文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長
≪パネリスト≫
奈須 正裕  上智大学総合人間科学部教授
宮迫 隆浩  独立行政法人教職員支援機構研修協力員
安河内 哲也 一般財団法人実用英語推進機構代表理事

アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット2019

アクティブラーニングで伸びる力

 文部科学省は、アクティブラーニングを導入することによって、どのような力を伸ばそうとしているのでしょうか。また、その力は将来、どのようなときに子どもたちの役に立つのでしょうか。
 
アクティブラーニングによって伸ばそうとしている能力は以下の通りです。

自ら進んで学ぶ能力 ― アクティブラーニングでは、生徒が中心となって授業を進めるので、自然と主体性が身につきます。また生徒同士で話し合って意思決定をする場面も多いことから、自分で調べて学ぶ能力が身につくとも言えます。知識の定着率の向上、問題発見や解決力の強化も期待できます

周りの皆と協力し合う力 ― グループディスカッションや共同作業、体験学習の多さから、他の生徒と積極的に関わる場面は少なくありません。このような環境下では、従来の授業では身につかなかった協調性が育まれ、周りの人と協力し合う力を身に付けることができ、将来社会に出た時に自信を持って周りの人とコミュニケーションが取れるはずです。

新しい課題に気づき解決する力 ― 他の生徒と話し合う時間が多いため、今までになかった価値観や考えを知る場面が多いと言えます。したがって多くの視点から物事を捉えられるようになるため、問題を発見しやすくなり、問題に対しても多くの切り口から考えられるので問題解決能力を鍛えることができます。
 正解のない問題もたくさんあると身をもって体験できるでしょう。そうすると将来、国際社会に出た時、異なる人種、異なる文化、異なる考え方の人ともコミュニケーションをスムーズに行うことができると思います。

アクティブラーニングの種類

 では具体的にアクティブラーニングはどういった方法で学ぶことができるのでしょうか?

アクティブラーニングにはジクソー法やKP法など多くの種類がありますが、今回は3種類紹介していきます。

PBL(Project Based Learning)

 PBLとは「課題解決型学習(Project Based Learning)」の訳です。これは自ら問題を発見し、解決する能力を養うことを目的とした教育法です。

 以前は医学や歯学、看護学のような、現場での問題解決能力が重要視される教育課程で採用されていましたが、アクティブラーニングの教育方法として注目され始めました。

1.テーマを決める。
2.解決策を考える。
3.相互に話し合い、何を調べるか明確にする。
4.自主的に学習する。
5.新たに獲得した知識を問題に適用する。
6.学習したことを要約する。

 基本的にはこの流れで進行していきます。しかしPBLには2つの方法があります。1つは「チュートリアル型」です。これは一つの課題に対して仮説を立て、検証していく方法です。

 そしてもう一つが「実践体験型」です。チュートリアル型に対して、こちらは課題を実社会の中に設定し、民間の企業と協力しながら問題を検証していきます。教育現場ではチュートリアル型の方が取り込みやすいため、PBLの主流として行われています。

 この学習法を取り入れることで、生徒は問題解決を通して知識を応用する力を身につけることができます。またディスカッションをメインにした授業によって、表現力も備えることができるのです。

 最終的に正しい解決や答えに到達したかどうかよりも、むしろその過程を重要視する学習理論です。

探究学習

 「探究学習」とは、生徒が自分で問いや課題を見つけて情報収集や情報の整理・分析、まとめを主体的におこない、独自の最適な答えを見つけ出す学習方法を指します。

 情報の収集は文献からだけでなく、フィールドワークによっても収集するので、自然体験や就業体験、ボランティアなどの社会と関わる活動までできます。

 このように誰かと協働して課題を解決することで、多様な考え方を持つ他者と関わったり、新しい価値を創造したりすることで、地域社会への参画や貢献につながると言われています。

 また探究学習に取り組んでいる学生ほど、国語や算数などの思考力を必要とする科目の学力が伸びるというデーターもあります。
 この結果より、自ら考えて最適な解を探す活動によって思考力や表現力を伸ばすだけでなく、考え方のプロセスを学ぶこともできるので、学力も伸びるのです。
 また、教科にとらわれない、横断的で総合的な問題解決能力を育むとも言われています。

ジグソー法

 「ジグソー法」は3ステップに分かれており、2ステップまでを準備段階とし3ステップ目でジグソー活動に入ります。

ホームグループ ー ホームグループとは学習者が所属するグループです。学習者を均等に振り分けグループを作り、課題を発表します。

エキスパート活動ー この活動ではグループ内のメンバーごとに違う学習をしてもらいます。その後、同じ内容を学んでいる他のグループの構成員同士でエキスパートグループを組み、学びを深めます。

ジグソー活動 ー エキスパートグループで学習内容を理解し、最初のホームグループへ戻します。そこで最初に与えられた課題に取り組みます。課題を解決する中で、エキスパートグループで学んだ内容が必要になるので、協力・合意形成・プレゼンテーションが必然的に必要になります。

 これがジグソー法の大まかな流れになります。この学習法では学習者全員が大きな責任を負い、仲間に学習してきた内容を伝えることが課題解決に必要になります。そのためグループでの課題解決力はもちろんのこと、個人の表現力や理解力を鍛えることができるのです。

 人間は人に教えることができるレベルになってこそ、その内容が真の知識として定着するといえます。これは子どもたち同士の話し合いを重視した新しい授業スタイルで、今では「アクティブラーニング」の最も有力なメソッドの1つと考えられています。

小1~小6 科目 授業実践事例

学校名:岐阜大学教育学部附属小学校教科等:
小学1年国語科(平成29年9月)
単元名:うみのかくれんぼ


<目標>
〇言葉には、事物の内容を表す働きがあることに気付くことができる。【知識及び技能】
〇事柄の順序を考えながら「何が」「どこに」「どのように隠れているのか」を読むことができる。【思考力・判断力・表現力等(読むこと)】
〇隠れ方について説明した本や文章を選び、伝えたいという思いをもって読むことができる。【学びに向かう力、人間性等】

授業場面より

学校名:廿日市市立大野西小学校教科等:
小学1年算数科(平成29年10月)
単元名:たしざん


<目標>
〇1位数と1位数との加法の計算の仕方を考えようとし、加法を用いて身の回りの問題を解決するなど、加法を進んで用いようとする。【算数への関心・意欲・態度】
〇1位数と1位数との加法の計算の仕方を10の補数に着目して考えることができる。【数学的な考え方】
〇1位数と1位数との繰り上がりのある加法の計算が確実にできる。【数量や図形についての技能】
〇1位数と1位数との繰り上がりのある加法の計算の仕方を理解する。【数量や図形についての知識・技能】

授業場面より

学校名:彦根市立平田小学校教科等:
小学2年国語科(平成29年10月)
単元名:音読げきをしよう 「お手紙」


<目標>
〇場面の様子や登場人物の行動が表れるように音読を工夫し、音読劇をすることができる。
〇物語の場面の様子を豊かに想像しながら、声に出して読むことができる。
〇「がまくんとかえるくん」シリーズの本に興味を持ち、進んで読むことができる。

授業場面より

学校名:大田区立矢口小学校教科等:
小学2年生活科(平成29年2月)
単元名:ひらめき あそびパーティー


<目標>
〇学習経験や生活経験を生かして、身近な自然や物を利用した遊びや、遊びに使う物を作ることを楽しもうとする。【生活への関心・意欲・態度】
〇身近な自然や物を利用して遊びを考えたり、遊びに使う物を自分なりに工夫したりして、それを素直に表現することができる。【活動や体験についての思考・表現】
〇遊びや遊びに使う物を作る面白さ、自然の不思議さ、みんなで遊ぶ楽しさに気付くことができる。【身近な環境や自分についての気付き】

授業場面より

学校名:大田区立矢口小学校教科等:
小学3年国語科(平成29年6月)
単元名:「きちんとつたえるために」(こそあど言葉)


授業実践事例

学校名:川崎市立川崎小学校教科等:
小学3年社会科(平成27年12月)
単元名:働く人とわたしたちの暮らし~工場で働く人と仕事~


授業実践事例

学校名:岐阜市立加納小学校教科等:
小学3年外国語活動(平成30年1月)
単元名:What’s this これなあに?


授業実践事例

学校名:由利本荘市立西目小学校教科等:
小学4年算数科(平成29年6月)
単元名:めざせ、わり算マスターズ!!   ~わり算のしかたを考えよう「わり算の筆算(1)」~


授業実践事例

学校名:岐阜大学教育学部附属小学校教科等:
小学4年図画工作科(平成28年9月)
題材名:〇〇な生き物!(絵や立体、工作に表す)


授業実践事例

学校名:廿日市市立四季が丘小学校教科等:
小学5年国語科(平成29年6月)
単元名:新聞記事を読み比べよう


授業実践事例

学校名:岐阜大学教育学部附属小学校教科等:
小学5年音楽科(平成28年6月)
題材名:世界の音楽 こんにちは


授業実践事例

学校名:由利本荘市立西目小学校教科等:
小学6年算数科(平成28年11月)
単元名:速さの表し方を考えよう


授業実践事例

学校名:横浜市立大岡小学校教科等:
小学6年総合的な学習の時間(平成29年6月)
単元名:段ボールで 楽しい製作所           ~段ボールのことをもっと知りたい!~


授業実践事例

※参考:アクティブ・ラーニング授業実践事例(200事例)

カリキュラムを作る際の注意点

 ここまでアクティブラーニングの種類や、学年別・教科別実践事例を紹介しました。
 しかし、アクティブラーニングを取り入れた授業は、生徒に考えさせたり、相談させたり、発表させたりと、今までの板書説明の受動的な授業に比べて、時間が必要です。
 アクティブラーニングを導入しても、学習範囲や授業時間に変化はありません。授業時間が足りなくなることを不安に思う方は多いのではないでしょうか?
 ここからは、授業時間の効率的な活用方法について考えていきます。

板書の時間を取らない:パワーポイントなどで授業を行い、そのプリントを配布することで板書の時間を減らす方法です。自習に近い板書の時間を減らすことで、アクティブラーニングに注力できる時間を捻出することができます。

説明を簡単にする:教科書に分かりやすく書いている内容の説明は省き、分かりにくい部分だけ説明することで効率の良い授業を行う事ができます。

個人ワークは宿題にする:資料の読み込みや、自分の考えをまとめる部分を宿題にすることで、授業時間を有効活用する方法です。授業時間は限られているので、その他に時間を作り出すという考え方です。

グループでの役割をあらかじめ決める:先に役割を決めてから活動をさせることで、役割決めの時間を短縮させる方法です。生徒に決めさせると役割が固定してしまうというリスクも回避できるので、一石二鳥だと言えます。

 これらのことを意識しながらカリキュラムを作成すると、アクティブラーニングを導入しても今まで通りの学習範囲を教えることができるでしょう。

 アクティブラーニングの授業は、教師自身の意識改革が必要です。例えば、板書をノートに書かせることにこだわると、すぐに授業は座礁してしまいます。大切なのは、第一歩を踏み出すことです。うまくいくか行かないかの判断や対策は、その一歩を踏み出してからでいいのです。勇気を持ちましょう。

評価方法(ルーブリック)について

関西大学総合情報学部教授:黒上晴夫先生の文を引用しました。

 今までの授業形態の点数は、評価基準がはっきりしていました。算数なら答えは〇か×かしかありませんし、評価は点数や偏差値になります。ところが、アクティブラーニングで実施される授業では、得点化する以前に、どのような具体的なチェック項目を作るかというところから考えなくてはなりません。そこで、考えだされたのが「ルーブリック」です。

 「ルーブリック」というのは、評価基準のことです。絶対評価を行うための「ものさし」と考えると分かりやすいでしょう。誰が評価してもほとんど誤差がなく、評価が一致し、誰もが同じ評価結果になるのが「ものさし」であり、「ルーブリック」なのです。

 ルーブリックという具体的な評価基準を設けることで、どんな効果が表れるのでしょう。最大の効果は、子どもたちが自らの立ち位置を自覚し、より高い次元を目指そうと意欲的に学ぶようになることです。

 つまり、黒上先生らが作成し、実践しているルーブリックは、教師陣だけのものではなく、生徒たちにも良い影響があるというのです。

 ルーブリックを子どもたちにも理解できる言葉に置き換えて、授業の際に明確に提示するのです。子どもたちは明示された「ものさし」を受けて、何を期待されているのかを知るのです。ここまで届けばこれだけの評価をもらえる。ここまで行けば次の段階に進める、というように目標が具体的になり、その目標に到達するために子どもたちは懸命に努力するのです。

 しかも、自分がどの段階にいるのか、自らの学びを振り返りながら、意欲的に努力すると黒上先生はおっしゃいます。ルーブリックによって、子どもたちは自分の成長の度合いを自分で知ることができるのです。
 下は、ルーブリックのイメージです。このようなマトリックスになっています。

最後に

 「アクティブラーニング」は、これからの子どもたちを育てるうえで無視することができない大切なツールであることが分かっていただけたと思います。しかし、日本では今のところ実験段階に入ったところです。授業の現場ではまだまだ実用段階ではないと思っています。
 実は、これから試されるのは生徒ではなく教師の方です。今までの自分の授業スタイルにしがみついているなら、「アクティブラーニング」タイプの授業のハードルは高いと思います。そのハードルを越える自信のない先生は是非とも、この記事の途中に挿入した、安河内 哲也先生のYoutube動画をご覧ください。安河内先生のようなカリスマ教師ですら追い込まれて、塾の職も生徒の評判も捨てる覚悟でアクティブラーニングに移行したとおっしゃっていました。

 アクティブラーニングに興味をお持ちの方の参考になれば幸いです。 (take_futa)

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