小6受験生がモチベーションを維持するには・・・

はじめに

 小6受験学年になってからモチベーションを維持するには、まわりの応援が必要だと思います。生意気なことを言っていても、小6受験生は12年ほどの人生経験しかないのです。「自分でどうすればいいのか考えなさい。」というのは、生徒のまわりの大人としては責任逃れのように見えます。少なくとも自分で考えるための、道筋は準備してあげなければならないと思います。ただ、子どもが自分で考えなければならないことまで先回りして準備するのも、将来のためには問題があります。子どもとの距離感をうまく取ってください。

 しかし、まわりの大人も中学受験に関しては、知識不足のこともあると思います。そのような場面の参考にしてほしくて、この記事を書きます。

知識のインプットからアウトプットへ

 中学受験勉強も小6になると仕上げの時期になります。
 小5で小6の内容まで済ませてしまい、小6でやらなければならないのは「得点力」を上げることです。知識はインプットされていても、アウトプットに慣れていなければ、テストで「高得点」は取れません

 受験生としては、今までのインプット中心の勉強からアウトプットに重心を移した勉強に変えなくてはなりません。しかし、慣れたインプット中心の勉強パターンから抜け出せず、ストレスがたまり、モチベーションが下がる受験生が多いように思います。

生徒への一言の重み

 そのような時、保護者の励ましや、塾講師の一言がその難局を乗り切る助け船になることがあります。そこで、そのような場面の一言がとても大切なのですが、悪気なく生徒を傷つけたり、不安をあおったりして、逆効果になることもあるようです。そこで、保護者・塾講師の方々に、知っておいていただきたいことをまとめて書いておきます。参考にしてください。
 
 保護者によって、講師によって個性がありますから、一概には言えませんが、これは避けた方がいいという明らかに間違っている方法は存在します。あえて、良い例・悪い例、取り交ぜてご紹介します。どちらの例かは、読んで頂ければ明確にわかるように書いたつもりです。

よく見られる生徒への一言(例)

1)受験が終われば遊べるから頑張れ!と励ます。

苦しい受験の後は楽しい世界?

 「今は大変だけど、受験が終われば、受験勉強からも解放されて、思いっきり遊べるから、もう少しの我慢だ。」と、この大変さは長くは続かないと励まし、その大変さの向こうには、自由で楽しい世界が広がっていると、納得させるのです。

 本当にそうでしょうか?

中学受験の後は中学の授業が始まる

 受験が終われば、中学の勉強を始めなければなりません。例えば合格したのだとすると、当たり前ですが、受験に合格した生徒だけのクラスで授業を受けることになります。小学校の授業とは質も量も全く違います。私の経験では、2月~3月ゆっくり休んだ生徒は中学に入って少なからずショックを受け、その後遺症に苦しむようです。

 つまり、「受験が終われば思いっきり遊べる」というのは嘘なのです。長くても1週間程度だと覚悟しておいた方がいいのです。

中学受験は低い山

 中学受験という山を過大評価してはいけません。これから乗り越えていく山に比べれば、かなり低い山なのです。ただ、生まれて初めての本格的な山登りなので高く見えただけなのです。

勉強は楽しいもの

 また、「もう少しの我慢だと言い聞かせる。」とありましたが、受験勉強とは我慢しなければならない程「嫌なもの」なのでしょうか。確かに疲れる作業ですが、問題が解けた時は嬉しかったのではないでしょうか。また、知らなかったことを知った時には好奇心が疼いたのではないでしょうか。本来勉強はワクワクして楽しいことなのです。

2)「もの」や「お小遣い」で釣る。

 もし、合格したら前から欲しがっていたテレビゲームとゲームソフトを好きなだけ買ってあげるから、頑張れ!のように、物やお小遣いをチラつかせ頑張らせる

 この、ご褒美に関しては4)で詳しく述べます。
結論としては「努力を物に変換するな!」ということです。

3)「この得点はなんだ!」と喝をいれる。

叱咤激励は、人間関係ができてから

 状況によっては、効果的に作用することもあるかもしれませんが、それは先生(保護者)・生徒間の信頼関係が出来上がっている場合に限ります
 そこが出来上がっていない場合は、子どもは「何もわかっていないくせに。」とか「今、困っているのだから、どうすればいいか教えてよ!」と心の中で叫ぶだけで、喝を入れた人物を睨み返すのがいいとこです。
 叱ったり、喝を入れたり、励ましたりするのは、人間関係がしっかりしてからにしましょう。

叱咤激励は、精神論

 また、人間関係ができている状況で、叱って喝を入れたところで、生徒は具体的に何をすればいいのかを自分で考えなければなりません。つまり、アドバイスにはなっていないのです。「頑張れ!」とか「大丈夫!」とか「自信を持て!」などの精神論は、あまり役に立たないのです。生徒は、具体的にどうすればここから脱出できるかを知りたがっているのです。

4)具体的に短期的な目標を決めてあげる。

まずは、総まとめ問題集で全体像をつかむ

 例えば、「総まとめ問題集4教科分をすべて終わらせる」など、具体的にやることと、期限を決めます。その時に生徒と個人面談をして生徒の意見を入れることが重要です。お仕着せではなく、自分で決めたという形があれば、生徒の緊張感が持続します。

次は、入試過去問を解き始める

 そして、その「総まとめ問題集」が終わったら「入試問題の過去問」を数種類買わせて、とにかく量を解くように指示をし、月間ロードマップに1日ごと何個の過去問を解いたかを記入させ、授業毎に必ずチェックをします。以上は私がやっている例にすぎませんが、節目節目で具体的な課題を与えることが重要です。

 この時点では、あまり間違えた部分のチェックをうるさく言わないほうが、(私の独断ですが)迷いなく過去問に没頭できるような気がします。しかし、子どもによって異なりますから、見直しに時間をかけたければ子どもに合わせていいと思います。

 今から書くことは、私の独り言だと思って読んでください。
 読書の後の「読書感想文」。問題を解いた後の「見直しと、やり直し。」当然、学力を上げる効果的な方法です。しかし、私は子どもだったとき、読書や問題を解いた後、しなければならないことがあると、頑張る気持ちにブレーキがかかってしまいました。結局、そのような勉強は性に合わなかったのです。
 「そこを我慢してやるのが、勉強だろ!」と言われれば、「ごもっともです。」というしかないのですが、私にはガンガンやり続ける方法が得点力を上げる近道だったような気がします。「そのやり方では、間違えたところのチェックができないので、何回も同じところで間違えて、得点を失ってしまうのではないですか?」と言われそうですね。ただ、数だけは見直す人の2倍以上こなせるので、間違える回数も2倍以上になります。さすがに、気付くのです、自分がどこで間違えるか。
 自分がそのようなやり方だったので、あまり本人の勢いにブレーキがかかることを強要したくないという気持ちが、心の奥にはあります。

実力がついてきたことを、生徒に実感させる

 そして、大切なのは量を解いているうちに「似たような問題ばかり」だと気付きます。また、「出題者の意図」が透けて見えてきます。そうすると、塾のクラス分けテストなどで効果が出てくるのです。あとは、「頑張っていることをちゃんと見てあげればいいのです。」

 実は、アウトプットに慣れるのに小細工はいらないのです。「過去問を解く」ことを継続すればいいだけです。必ず効果が出てきます。しかも、短期的な目標をクリアしていくうちに、自信がついてくるのです。こうなれば、スランプ脱出です。最後に、忘れてはいけないのは過去問を解いて頑張った結果、成績が上がってきたことを先生の口から直接褒めてあげればいいのです。物などを与える必要はありません。

ご褒美を上げることについての持論

 ご褒美をあげることに関して、持論を述べさせてください。反論は覚悟しています。
 私は成績が上がって物やお金をあげることに関しては、かなり抵抗があります。

 例えば、上記のように最初は先生に言われて無理やり過去問を解いていたかもしれませんが、途中から面白くなって頑張り続けた結果、得点が上がってきた場合に、親から「今度〇〇点取ったから、お小遣い○○○○○円あげよう!」と言われたとします。当然嬉しいのだけど、「自分の頑張りは、このお金をもらうためだった!」と純粋な気持ちが汚されたような気持ちになる子どもは多いのです。

 小6は分かったような口をきくし、生意気なことも平気で言いますが、子どもの純真を持っているのです。ただ、そんなことを本人に直接言うと、「うざっ!」とか言うに決まっていますが・・・。(笑)

 子どもに必要なご褒美は、「先生(親)の心からの誉め言葉」だけだと思っています。物や、お金を渡したとたん、生徒の頑張りの意味が変わるのです。

最後に

 子どもという生き物は、大人の対応を敏感に感じ取る能力を持っています。無神経に対応したら、大人の想像以上に傷つきます。また、逆に心を込めた対応にはちゃんと真正面で受け取って、素直に反応してくれるのです。大人にはその子どもたちへの責任があります。大人の無神経な言動子どもの一生を曲げてしまうことがあることを、重く受け止めてください。
(take_futa) 

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