子どものキャパシティの広げ方

脳の発達

キャパシティとは限界のことでしょうか

 私たち教育関係者は、キャパシティという言葉をその子が持っている「うつわ」「物事を受け入れる能力」という意味で使います。しかし、「キャパを超えた学習計画はやめよう。」という使い方をしてしまうと、「うつわ」が固い入れ物でその容量は変化しないという意味になってしまいます。本当にその「うつわ」は固いのでしょうか、また同じ大きさのままなのでしょうか。その考え方だと、教育の出場所がありません。
 ずいぶん昔のTimeに「ゲノム(DNA)は人間の設計図ではなく、作り方レシピである。」というような文が載っていたことがあります。レシピは、設計図よりかなり緩い表現です。レシピならば作る人次第で味が大きく変わるからです。

 どうも塾講師というのは何かに例えて、「見える化」を図らないと落ち着かない人種みたいで、生徒の持っている「キャパシティ」を「陶器の壺」に例えてみましょう。そうだとすると、「学びのレベル」がその壺から溢れたらそこで、やめなければなりません。なぜなら、陶器のツボに許容量以上の学びを入れると溢れてしまうからです。もしかすると、壺自体が割れてしまうかもしれません。

 では、こう考えてはどうでしょうか。キャパシティは胃袋のようにある程度伸び縮みするゴム袋のようなものとするのです。ユーチューブなどで細い体の女性が大食いで何百杯ものわんこそばを食べているのを見たことがあります。その方の胃袋はどうなっているのでしょう。パンクしないところを見るとゴム袋のように伸びているのです。まさに、キャパシティが増大しているといってもいいのです。生徒たちのうつわもこのようなゴム袋だと思ってはどうでしょう。大食いの女性と同様に訓練すればキャパシティを広げることができるのです。

 私たち塾講師はそのゴム袋を広げることを職業にしていると考えるのはどうでしょうか。少し、塾講師の株が上がりましたね。しかし、そのゴム袋を広げるにはどうしたらいいかは、子どもによって違うのです。
 ある子どもは、ゴム袋が薄いので、慎重に広げてあげないと、思ってもいないところに穴が開いてパンクしてしまいます。また、ある子どもは最初に広げるときにパワーが必要だけれど、その後は簡単に膨らんでいくという特徴を持っていたりします。

 なんでもかんでもこのたとえ話で片が付くわけではありませんが、キャパシティというもって生まれた物が、後に形を変えられると思えただけでも、講師・子ども・保護者様みんな頑張る気がするのではないでしょうか。

キャパシティの広げ方

 では、キャパシティを広げるにはどうすればいいのでしょう。馬鹿げていると思われるかもしれませんが、「大食い」の方の訓練方法と比べてみましょう。

  • 普段から胃を拡張するために、水を何リットルも飲んだり、お粥を何キロも食べたりしているそうです。つまり、量に慣れるということでしょうか。勉強で言うと毎日決まった時間勉強をする習慣をつけるということですね。
  • 徐々に食べる量を増やしていく訓練方法もあるそうです。勉強に置き換えるとスモールステップですね。少しずつ難度を上げていって、挫折を回避するテクニックです。
  • 次は、残っている食べ物をできるだけ見ないようにして、目の前の食べ物に集中するとたくさん食べられるそうです。勉強においても、過去や未来のことを考えると不安がよぎりますが、今やっている勉強にだけ集中すると、本来以上のパワーが出ることがあります。
  • 次は、精神的なことですが、多量の食べ物を見て、その量に圧倒されないことだそうです。このくらいの量なら食べられると自分に言い聞かせるのだそうです。これは皆さんも経験がありますよね。こんなに難しい問題絶対に分からないとか、こんな難しい中学に合格できるわけないなど、戦う前から自分のキャパシティを固い壺にしてしまっている例です。自分に自信を持ちましょう。当然、勉強しなければその自信はわいてきませんが・・・。

キャパシティは際限なく広がるのでしょうか

 キャパシティを広げるのに限界はあるのかという質問が出てきそうなので、答えておきましょう。
 当然ですが、限界はあるのです。ただ、こう考えてはどうでしょうか。算数が苦手な子は元々キャパシティのゴム袋の大きさは小さいのです。それでも、訓練によってそのゴム袋は拡張しますが、ゴム袋とはいえ、限界以上に詰め込めば、いずれはパンクしてしまうのです。
 ここで、気づいてほしいのはキャパシティのゴム袋は数えきれないくらいたくさんあるということです。今の算数のゴム袋の横には国語のゴム袋、またその横には理科のゴム袋とたくさんのゴム袋があるのです。その中には算数のゴム袋と比べ物にならない大きいゴム袋もあるのです。それでいいじゃないですか。人間には個性があるのです。得意なこともあれば苦手なこともあるのです。

キャパシティをもっと見える化しましょう

 塾講師らしく、キャパシティをもっと見える化しましょう。皆さんの脳の中にはゴムのような伸び縮みできる何色ものキャパシティ袋がぶら下がっています。まだ鍛えていない袋は小さく自信なさげです。しかし、毎日の習慣で拡張した大きい袋は多くの学びでパンパンです。この場合も大食いの人たちと同じで訓練せずに置いておけば、元の大きさの胃袋になってしまうのです。
 能力のキャパシティを生まれた時から決められたDNAの限界と考えるのはやめましょう。ある程度コントロールできるものなのです。そのために、学校や塾があります。また、学校の教科以外にも皆さんの脳の中には虹色のゴム袋がいくつもぶら下がっています。どの袋が大きくて柔軟性があるのかを見つけるのも皆さんの大切な勉強なのです
(take_futa)

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